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2つの会社の旅
大手医療保険2社の選択。データ関連の問題に対する異なる道

Ab Initioのプロジェクトはさまざまな形態と規模で起こり得るものです。大抵の場合、事業目標と技術目標が比較的明確であり、スタートからゴールまで行動計画を着々と進めることによって目標を達成することができます。これは、そのプロジェクトが単純または簡単であるという意味ではありません。大規模で複雑な場合もあります。しかし、つり橋建設などの大規模プロジェクト並みに作業が大掛かりで困難であったとしても、スタートとゴールおよび克服すべき課題が明白な場合は達成可能だということです。

しかし、他の種のプロジェクトが存在するのも事実です。目標が抽象的なプロジェクト、成功したと断言できるのはその目標を達成した瞬間だけ、というプロジェクトもあるのです。このようなプロジェクトは明確な終点のある建設作業とは異なり、むしろ、結果を追い求める旅のようなものになります。

米国における医療保険はこのような流動性を持つ業務の最たる例で、終着点がどこかは誰にもわかりません。Ab Initioは、数々の大手医療保険機関が、この旅のさまざまな局面を切り抜けていく手助けをしています。以下にそのような2社の取り組みについて説明します。

その1: 複雑な会員管理をこなす

医療保険機関(保険会社)にとって会員管理は大きな関心事です。明らかに、健康な会員はそうでない会員より収益性が高くなります。しかし、一般に、医療保険機関が会員を選択することはできません。そんなネガティブなことをしたら大問題になります。

Ab Initioは、ある医療保険機関(以降、“HCP”と呼びます)がこの問題に対してポジティブな対策を取れるよう支援しています。第1に、健康な会員がHCPに確実にとどまるようにします。第2に、健康な会員が健康を維持できるよう支援します。第3に、低コストのジェネリック薬品を使用する可能性がある会員を特定し、彼らにその選択が可能であることについて知ってもらいます。第4に、あまり健康でない会員に対して医療上の問題を後期に発見する(医療費が高コスト)のではなく、早期(医療費が低コスト)に発見するプログラムに参加するよう、積極的にお勧めします。最後に、高額の医療費を自己負担している会員について、他の保険契約が適切な選択かどうかを判断し、そうである場合はこれを勧めます。その会員にとって別の保険契約が適切な選択であるなら、HCPにとってコスト削減のチャンスが生まれます。

これらの目標は、達成するために一つの決まった方法がないという意味で、いくぶん漠然としていますが、Ab InitioはHCPがさまざまな(ITによる)アプローチを調査し、実装するための支援をしています。もちろん、これらの取り組みは基本的に情報の取り扱いに関連するものですが、情報の収集、統合、分析、ルール定義、そして、会員管理システムでのルール実行まで、多岐に渡ります。

手始めに、Ab Initioは大量の複雑なルールを定義し実行するフレームワークの確立を支援してきました。これらのルールは各会員の情報に適用されます。ルールにより会員が分類され(健康、あまり健康でない、健康だが病歴ありなど)、これらの分類に基づいて各種対応用のフラグが付けられます。

1人の“会員”が単に一個人ではなく、もっと複雑な場合もあります。”会員”とは、家族全体を含む可能性があるためです。HCPがその顧客ベースをより深く理解して行くにつれて、はじめて会員の分類が変化することもあります。そして、会員にどのような対応を行うか、というアイデアは常に進化しています。

うまくいくアイデアも、そうでないものもあります。しかし、何がうまくいくのかを知る唯一の方法はアイデアを具体化して実際に試してみることです。アイデアをすぐに試すことができれば、どのアイデアが成功するかを直ちに知ることができます。HCP向けに構築したAb Initio®フレームワークでは、HCPが個人に関する複雑なデータを取り出し、“会員群”にまとめ、それに対して複雑なルールセットを適用することができます。これにより、“もし、こうしたら…”という実験を、きわめて短時間に実施することができます。これは非常に生産性の高い方法です。

ルールとデータが非常に複雑な場合、通常は結果を理解するのも困難になります。しかし、Ab Initio Business Rules EnvironmentとEnterprise Meta>Environment®(EME®)では、業務ユーザーがルールを試して結果をすぐに確認し、その結果の算出理由を元のデータまで遡って追跡することができます。

さらに、業務全体が複雑である場合は、システムが判断を下していく過程をグラフィカルに確認できることが、業務ユーザーにとっては非常に重要です。ルールの変更を定義し、初期テストを通した後で、新しいルールを会員全体に実行し完全な分析を行う必要があります。Ab Initio Co>Operating Systemは本来のパフォーマンスが非常に高いため、HCPはテストを即座に実行できるだけでなく、全てのルールを会員データ全体に対して日次ベースで実行することもできます。

新システムを導入した結果、HCPは、以前よりもはるかに大量のデータをさまざまなシステムから取り込んで、より優れた決定を下すことができることがわかりました。今や経営層は、彼らが持つすべての情報を1か所に集めることに戦略の良し悪しがかかっているのだということを理解しています。そして、この実質的な意味合いは、言わばデータウェアハウスの機能拡張になります。ちなみに、このデータウェアハウスもAb Initioのソフトウェアで構築され、運用されています。

その2: 複雑なコード変換を乗り越える

別の医療保険機関に対するAb Initioの支援は、ICDバージョン9のコードをICDバージョン10のコードに差し替えるというものです。ICDは“International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems”(国際疾病分類)の略であり、これらのコードは医療保険分野で広く使用されています。ICD10コードは、ICD9コードとすべて同じ疾病および健康問題を表現しますが、詳細度がはるかに高くなっています。たとえば、“肩および上腕の開放創”に対するICD9コードは1つですが、ICD10のコードは複数あり、傷を“表面”、“開放型”、“挫傷”、“切断”、“脱臼/捻挫/湾曲”、および“その他”のようにさらに詳細に記述することができます。これらのコードは、保険金支払いを含む多くの目的に使用されるので、医療保険機関にとっては重大な関心事です。コードがどのように割り当てられるかによって、最終結果に大きな違いが生じます。

この医療保険機関の場合、この旅における第一歩は、すべての(ICD9コードを使う)アプリケーションを、ICD10を使うように改修することです。ICD9コードは約千種類ありますが、ICD10コードは5万弱です。まいった。明らかにこれはものすごい作業になりそうです。しかし、この医療保険機関が、全データセットおよび全アプリケーションのソースコードを調査する際に、メタデータに関するAb Initio独自の技術が役に立ちました。Ab Initio Data Profilerは多数の大規模データセットを分析して、これらのデータセットのどのフィールドにICD9コードがありそうか、その他のどのデータ要素がICDに関連または該当しそうか、などを特定することができます。そして、Ab InitioのEME構文解析機能は、アプリケーションのソースコードに、ICD9を見つける鍵となる動詞、フィールド名、表現などがあるかどうかを調べます。

Ab Initioは、この医療保険機関が情報をすべてEMEにまとめ、そして、ワークフロープロセスを構築し、担当者が発見された“改修候補”を1つずつ精査して実際に改修が必要なものかどうかを判断する作業を支援しました。

ICD9コードを使用している箇所全部の特定を実行するのと並行して、各請求に関する情報を集めてICD9コードをICD10コードに自動変換するデータ処理アプリケーションを構築しました。大抵の場合は、ICD9とそのデータセットにある関連情報を組み合わせれば正しいICD10を導きだすことができました。しかし、これは各データセットそれぞれに特有の対応が必要で、変換のルールが多数になり、そして、それらの変換ルールは非常に複雑になる可能性があります。前に述べたHCPの例と同様に、これらのルールを正しく適用するのは非常に困難であるため、Ab Initioは業務の専門家が変換ルールを対話的に指定、テスト、およびデプロイできるフレームワークを構成しました。

変換ルール構築の一環として、この医療保険機関は、選択した変換マッピングが財務に影響を及ぼすことを考慮しなければなりませんでした。ICD9からICD10へのマッピングに“絶対的な正解”はありません。会員の請求内にあるその他のデータ次第では、マッピングが大幅に変わることもあり得ます。しかも、これらのコードが保険料請求における払戻額の計算に使用されるのです。そのため、マッピング戦略は最終結果に重大な影響を及ぼす可能性があります。

変換作業を完了した“後になってから”、別のコードを選んでいたら払戻額が計10%も削減できたことがわかったときのことを想像してみてください。不幸なことに、この業界ではこのようなことが頻繁に起こっているのです。この医療保険機関の場合、Ab Initioによって非常に高速な大量変換が可能になり、これらの変換を大規模な請求データセットに適用して、変換ルールが財務に及ぼす影響を分析しました。これによって、経営層は、通常と同じように変換プロジェクトが終了するまで待たなくても、せめて収益的に中立になるように変換プロセスを調整することができました。

数年後に医療保険制度がどうなっているかは誰にもわかりませんが、ここに挙げた2つの事例は、Ab Initioが(その人材とテクノロジが)、どのようにして、これらの長く難しい旅を積極的に支援しているかを明らかにしています。

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